「救急車のように改造した車の中で、不妊去勢手術ができないかな。そうすれば、手術をたくさんの場所に届けられるのに。」それが、保健所に勤務する行政獣医師だった私の夢でした。
この時の私の役目は、毎日のように届く「野良猫が増えて困る」「野良猫が生んだ仔猫を引き取ってくれ」という相談や苦情に対応したり、引き取った猫の殺処分を行うことでした。
「野良猫に不妊去勢手術を受けさせたくても、手術してくれる病院が近くにない」と漏らす住民の声も、当時の私の胸に強く残りました。
これらの苦情対応や殺処分の経験が、「猫の過剰繁殖を止めたい」という強い思いとなり、今日の活動に至っています。
2020年春、行政獣医師から転身した私の夢を乗せて動き出した移動式手術室ニコワゴン。この車のおかげで、たった一人の獣医師でもたくさんの場所、たくさんの地域に「スぺイクリニック」を届けることができ、移動式の不妊去勢手術専門病院(=モバイルスペイクリニック)は不妊去勢手術を普及させる手段として有効だという確信に変わりました。
モバイルスペイクリニックというひとつの夢を実現させた私が思い描く未来は、猫の過剰繁殖問題解決に不可欠な不妊去勢手術を、誰もが容易に享受できる社会。そのためには、不妊去勢手術が身近で手軽に受けられる仕組みが必要なのです。
このたび多くの方からのご支援により開催される「モバイルスペイ全国キャラバン2023」では、より多くの方にモバイルスペイクリニックを知ってもらい、応援してくれる仲間を募り、そしてモバイルスペイクリニックを本当に必要としている地域へニコワゴンを配備し、その仕組みを具現化させたいと考えています。
新たな挑戦となる「モバイルスペイ全国キャラバン2023」をどうぞご期待ください!
モバイルスペイ全国キャラバン
実行委員長 髙橋 葵
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